子供の手を取って、「タリタ、クム」と言われた
福者ユスト高山右近殉教者 殉教者
🌸 第一朗読 (サムエル下18・9-10、14b...)
サムエル記
〔その日、〕9アブサロムがダビデの家臣に出会ったとき、彼はらばに乗っていたが、らばが樫の大木のからまりあった枝の下を通ったので、頭がその木にひっかかり、彼は天と地の間に宙づりになった。乗っていたらばはそのまま走り過ぎてしまった。10兵の一人がこれを見て、ヨアブに知らせた。「アブサロムが樫の木に宙づりになっているのを見ました。」
14bヨアブは棒を三本手に取り、アブサロムの心臓に突き刺した。
24ダビデは二つの城門の間に座っていた。城壁に沿った城門の屋根には、見張りが上って目を上げ、男がただ一人走って来るのを見た。25見張りは王に呼びかけて知らせた。
30王が、「脇に寄って、立っていなさい」と命じたので、アヒマアツは脇に寄り、そこに立った。
31そこへクシュ人が到着した。彼は言った。「主君、王よ、良い知らせをお聞きください。主は、今日あなたに逆らって立った者どもの手からあなたを救ってくださいました。」32王はクシュ人に、「若者アブサロムは無事か」と尋ねた。クシュ人は答えた。「主君、王の敵、あなたに危害を与えようと逆らって立った者はことごとく、あの若者のようになりますように。」
1ダビデは身を震わせ、城門の上の部屋に上って泣いた。彼は上りながらこう言った。「わたしの息子アブサロムよ、わたしの息子よ。わたしの息子アブサロムよ、わたしがお前に代わって死ねばよかった。アブサロム、わたしの息子よ、わたしの息子よ。」
2王がアブサロムを悼んで泣いているとの知らせがヨアブに届いた。3その日兵士たちは、王が息子を思って悲しんでいることを知った。すべての兵士にとって、その日の勝利は喪に変わった。
🌸 答唱詩編 詩編86 典138①③
すべての人の救いを願い、わたしはあなたを待ち望む。
神よ、あなたは恵み深く、心の広いかた、
あなたに助けを求める人にいつくしみを注がれる。
神よ、わたしの祈りを聞き、
願いの声に耳を傾けてください。
神よ、あなたはあわれみに満ち、恵み深いかた。
怒るに遅く、いつくしみとまことにあふれておられる。
あなたのしもべに力を授け、
あなたに仕える者を救ってください。
アレルヤ唱 典
アレルヤ、アレルヤ。主はわたしたちの病を身に負い、わたしたちの苦しみをになってくださる。アレルヤ、アレルヤ。
🌸 福音朗読 (マルコ5・21-43)
マルコによる福音
〔そのとき、〕21イエスが舟に乗って再び向こう岸に渡られると、大勢の群衆がそばに集まって来た。イエスは湖のほとりにおられた。22会堂長の一人でヤイロという名の人が来て、イエスを見ると足もとにひれ伏して、23しきりに願った。「わたしの幼い娘が死にそうです。どうか、おいでになって手を置いてやってください。そうすれば、娘は助かり、生きるでしょう。」24そこで、イエスはヤイロと一緒に出かけて行かれた。
大勢の群衆も、イエスに従い、押し迫って来た。25さて、ここに十二年間も出血の止まらない女がいた。26多くの医者にかかって、ひどく苦しめられ、全財産を使い果たしても何の役にも立たず、ますます悪くなるだけであった。27イエスのことを聞いて、群衆の中に紛れ込み、後ろからイエスの服に触れた。28「この方の服にでも触れればいやしていただける」と思ったからである。29すると、すぐ出血が全く止まって病気がいやされたことを体に感じた。30イエスは、自分の内から力が出て行ったことに気づいて、群衆の中で振り返り、「わたしの服に触れたのはだれか」と言われた。31そこで、弟子たちは言った。「群衆があなたに押し迫っているのがお分かりでしょう。それなのに、『だれがわたしに触れたのか』とおっしゃるのですか。」32しかし、イエスは、触れた者を見つけようと、辺りを見回しておられた。33女は自分の身に起こったことを知って恐ろしくなり、震えながら進み出てひれ伏し、すべてをありのまま話した。34イエスは言われた。「娘よ、あなたの信仰があなたを救った。安心して行きなさい。もうその病気にかからず、元気に暮らしなさい。」
35イエスがまだ話しておられるときに、会堂長の家から人々が来て言った。「お嬢さんは亡くなりました。もう、先生を煩わすには及ばないでしょう。」36イエスはその話をそばで聞いて、「恐れることはない。ただ信じなさい」と会堂長に言われた。37そして、ペトロ、ヤコブ、またヤコブの兄弟ヨハネのほかは、だれもついて来ることをお許しにならなかった。38一行は会堂長の家に着いた。イエスは人々が大声で泣きわめいて騒いでいるのを見て、39家の中に入り、人々に言われた。「なぜ、泣き騒ぐのか。子供は死んだのではない。眠っているのだ。」40人々はイエスをあざ笑った。しかし、イエスは皆を外に出し、子供の両親と三人の弟子だけを連れて、子供のいる所へ入って行かれた。41そして、子供の手を取って、「タリタ、クム」と言われた。これは、「少女よ、わたしはあなたに言う。起きなさい」という意味である。42少女はすぐに起き上がって、歩きだした。もう十二歳になっていたからである。それを見るや、人々は驚きのあまり我を忘れた。43イエスはこのことをだれにも知らせないようにと厳しく命じ、また、食べ物を少女に与えるようにと言われた。
🌸 分かち合い
イエスの大いなる業についてのマルコの記述が続く。会堂長ヤイロの幼い娘のよみがえりと、長年出血症に悩まされてきた女性の癒しの話。マルコは、マタイ・ルカよりもずっと詳しく描写している。それだけ、人々にとって、印象深い出来事だったからだろう。
ヤイロの娘の話の間に挟まれた出血症に悩まされた女性の癒しに絞って考えてみよう。現在、日本では、コロナウィルスの感染が第6波を迎えているが、感染が始まった2年前の春、この新しいウィルスに対する情報が十分でなく、いたずらに恐怖心が人々を襲った。運悪く感染した人に対して、人々は異常な警戒心をいだき、感染された方を始め、その家族、地域に対しても、必要以上の恐れをもった。
イスラエルには、旧約の時代から、「汚れ」に対する厳しい考えをもっていた。女性の生理に伴う出血、生理以外の出血をも汚れとして、それを洗い流し、人々との交わりを避ける、いわば、「隔離」を求める規定が律法に定められていた。
12年もの間、出血症に悩まされてきた女性は、そんな社会の中で、何とか救いの手を求めて、イエスに近づいた。「この方の服にでも触れればいやしていただける」と思って、人ごみの中で、後ろからイエスに近づき、その服に触れる。どれほど勇気のいるふるまいだっただろうか。そして、イエスが、その女性を特定できないまま、不思議な力が働いて女性は癒された。 イエスは、古い慣習を打ち破り、それに悩まされ、傷つき希望を失う人に、新たな希望をもって生きる力を回復する方である。(英隆一朗著『イエスに出会った女性たち』参照)(S.T.)
