年間第三十二土曜日(11/16)
人の子が来るとき、果たして地上に信仰を見いだすだろうか。
集会祈願
🌸 第一朗読 (三ヨハネ5-8)
使徒ヨハネの手紙
5愛する者よ、あなたは、兄弟たち、それも、よそから来た人たちのために誠意をもって尽くしています。 6彼らは教会であなたの愛を証ししました。どうか、神に喜ばれるように、彼らを送り出してください。 7この人たちは、御名のために旅に出た人で、異邦人からは何ももらっていません。 8だから、わたしたちはこのような人たちを助けるべきです。そうすれば、真理のために共に働く者となるのです。
🌸 答唱詩編 詩編112 典99 ①③
答:しあわせな人、神の恵みを受け、その喜びに生きる人。
しあわせな人、神をおそれ、
そのおきてを喜びとする人。【答】
光はやみの中に輝き、
神に従う人を照らす。【答】
アレルヤ唱 典270 25B
🌸 福音朗読 (ルカ18:1-8)
ルカによる福音
1〔そのとき、〕イエスは、気を落とさずに絶えず祈らなければならないことを教えるために、弟子たちにたとえを話された。 2「ある町に、神を畏れず人を人とも思わない裁判官がいた。 3ところが、その町に一人のやもめがいて、裁判官のところに来ては、『相手を裁いて、わたしを守ってください』と言っていた。 4裁判官は、しばらくの間は取り合おうとしなかった。しかし、その後に考えた。『自分は神など畏れないし、人を人とも思わない。 5しかし、あのやもめは、うるさくてかなわないから、彼女のために裁判をしてやろう。さもないと、ひっきりなしにやって来て、わたしをさんざんな目に遭わすにちがいない。』」 6それから、主は言われた。「この不正な裁判官の言いぐさを聞きなさい。 7まして神は、昼も夜も叫び求めている選ばれた人たちのために裁きを行わずに、彼らをいつまでもほうっておかれることがあろうか。 8言っておくが、神は速やかに裁いてくださる。しかし、人の子が来るとき、果たして地上に信仰を見いだすだろうか。」
奉納祈願
拝領祈願
🌸 分かち合い
今日の福音の箇所は「やもめと裁判官」のたとえ、と題されている。聖書の中で、やもめは社会の中で最も弱い立場に置かれたものとして、孤児、外国からの寄留者とともに、律法や預言者の言葉に繰り返し登場する。しかし、現実には、彼らの弱さに付け込んで、様々な不正を働く人間、さらには裁判官がいた(イザヤ10.1∼2)ことも事実のようだ。
様々な苦しみに悩むやもめは裁判官に訴えるが、彼は取り合おうとしない。しかし、「うるさくてかなわないから、彼女のために裁判してやろう」と言う。こうしたたとえを引き合いに、主は言われる、「神は、昼も夜も叫び求めている選ばれた人たちのために裁きを行わずに、彼らをいつまでもほうっておかれることがあろうか。言っておくが、神は速やかに裁いてくださる。」と。
ルカがこうした言葉を記したのは、主イエスの十字架上の死、そして、復活後、数十年が経った頃のこと。誕生間もない教会は、同胞ユダヤ人からの迫害によりエルサレムを追われ、さらには、ローマ帝国の支配下にあって、自分たちの信仰を公言し、神の国の到来を確信するにはほど遠い状況だったのではないか。
わたしたちが生きる現代、人類が抱えている問題は大きく、深く、容易な解決の見えないものばかり。キリストを信じて生きるわたしたちも、人間の無力さを感じ、時に、希望を失うことも少なくないかもしれない。しかし、主は言われる、「気を落とさず、祈りなさい」と。
わたしたち、キリスト者の存在意義は、それがどんなに小さい働きに見えるとしても、この人間の思い通りにならない現実の中に、あの復活された主が生き、働いておられることを告げ知らせることだと、あらためて悟る恵みを祈ろう。(S.T.)