年間第三十三木曜日(11/21)
もしこの日に、お前も平和への道をわきまえていたなら……
集会祈願
🌸 第一朗読 (黙示録5:1-10)
ヨハネの黙示
1わたし〔ヨハネ〕は、玉座に座っておられる方の右の手に巻物があるのを見た。表にも裏にも字が書いてあり、七つの封印で封じられていた。 2また、一人の力強い天使が、「封印を解いて、この巻物を開くのにふさわしい者はだれか」と大声で告げるのを見た。 3しかし、天にも地にも地の下にも、この巻物を開くことのできる者、見ることのできる者は、だれもいなかった。 4この巻物を開くにも、見るにも、ふさわしい者がだれも見当たらなかったので、わたしは激しく泣いていた。 5すると、長老の一人がわたしに言った。「泣くな。見よ。ユダ族から出た獅子、ダビデのひこばえが勝利を得たので、七つの封印を開いて、その巻物を開くことができる。」
6わたしはまた、玉座と四つの生き物の間、長老たちの間に、屠られたような小羊が立っているのを見た。小羊には七つの角と七つの目があった。この七つの目は、全地に遣わされている神の七つの霊である。 7小羊は進み出て、玉座に座っておられる方の右の手から、巻物を受け取った。 8巻物を受け取ったとき、四つの生き物と二十四人の長老は、おのおの、竪琴と、香のいっぱい入った金の鉢とを手に持って、小羊の前にひれ伏した。この香は聖なる者たちの祈りである。 9そして、彼らは新しい歌をうたった。
「あなたは、巻物を受け取り、
その封印を開くのにふさわしい方です。
あなたは、屠られて、
あらゆる種族と言葉の違う民、
あらゆる民族と国民の中から、
御自分の血で、神のために人々を贖われ、
10彼らをわたしたちの神に仕える王、
また、祭司となさったからです。
彼らは地上を統治します。」
🌸 答唱詩編 詩編149 典106 ①③
答:シオンよ、喜べ。エルサレムよ、うたえ。見よ、わたしたちの王、主が来られる。
新しい歌を神にうたい、
民のつどいで神を賛美しよう。
イスラエルはその造り主を喜び、
シオンの子らはその王をよろこべ。【答】
栄光をあびて神の民は喜び、
神に仕え、高らかにうたう。
彼らの口には神への賛美、
これは神を敬う人の誉れ。【答】
アレルヤ唱 典261 ③
アレルヤ、アレルヤ。神に心を閉じてはならない。今日こそ神のことばを聞こう。アレルヤ、アレルヤ。
🌸 福音朗読 (ルカ19:41-44)
ルカによる福音
41エルサレムに近づき、都が見えたとき、イエスはその都のために泣いて、 42言われた。「もしこの日に、お前も平和への道をわきまえていたなら……。しかし今は、それがお前には見えない。 43やがて時が来て、敵が周りに堡塁を築き、お前を取り巻いて四方から攻め寄せ、 44お前とそこにいるお前の子らを地にたたきつけ、お前の中の石を残らず崩してしまうだろう。それは、神の訪れてくださる時をわきまえなかったからである。」
奉納祈願
拝領祈願
🌸 分かち合い
オリーブ山に登る途中、東方からエルサレムを見渡せる位置に、Dominus flevit (主が泣かれた)という小さな祠(ほこら)のような聖堂がある。恐らく、今日の朗読箇所に因んで建てられたものであろう。ルカ福音書では、直前に、人々がエルサレムに向うイエスを熱狂的に歓迎した様子が記されているが、枝の主日に読まれるためか、省略されている。
マタイには、神殿の礎石が崩れ去ることの預言の言葉はあるが、ルカはよりリアルにエルサレムの都そのものが、堡塁に囲まれ、四方から攻め寄せられ、その石が残らず崩される、というイエスの言葉を記している。実際、紀元70年に、ローマ軍によって、エルサレムと神殿は壊滅的な打撃を受け、その後、二度と再建されることはなかった。ルカ福音書は、そのことの後に、それを踏まえて書かれたと言われている。
そして、イエスは、そうしたことが、「お前」=エルサレムとその住民が、「平和への道」も「神の訪れの時」もわきまえないこと、それも、単なる無知ではなく、知ろうとしない、認めようとしない、頑なさ、頑迷さによるとされる。
ユダヤ人の中で、ユダヤ人の一人として生まれたイエスにとって、1000年に及ぶ年月の間、唯一の神への信仰の中心として尊ばれた都、そして、「父の家」と呼ばれた神殿が滅びることは、どれほどの痛みだっただろうか。「イエスはその都のために泣かれた」。しかし、新しい「天のエルサレム」、
「新しい神殿」が生まれるために、石の神殿は、消え去るほかはなかったのだ。(S.T.)