集会祈願
🌸 第一朗読 (トビト11.5-17)
5ハンナは息子が旅立ったその道をじっと眺めて座っていた。 6やって来るのがトビアだと分かると、トビトに知らせた。「息子が帰って来ました。一緒に行ったあの人もいます。」 7トビアが父親に近づく前に、ラファエルは彼に言った。「お父上の目はきっとまた見えるようになります。 8魚の胆のうを目に塗ってあげなさい。それが薬となって、白い膜は縮み、目からはがれてしまいます。そしてお父上は視力が回復して再び光を見ることができるのです。」 9ハンナは走って行って息子の首に抱きつき、「息子よ、また会えてよかった。もう思い残すことはありません」と言うと声をあげて泣いた。 10トビトも立ち上がり、おぼつかない足取りで、中庭の戸口から外へ出て来た。
トビアは父のところに行き、 11魚の胆のうを手に取り、父の目に息を吹きかけ、抱き締めて言った。「お父さん、心配には及びません。」そして胆のうを父の目に塗り、手当てをした。 12-13更に両手を使って父の目の縁から白い膜をはがした。トビトはトビアの首に抱きつき、 14声をあげて泣いて言った。「お前が見える。わたしの目の光であるわが子が見える。」そして言葉を続けた。「神をほめたたえます。その大いなる御名をほめたたえます。神のすべての聖なる天使をほめたたえます。神の大いなる御名によってわたしたちが守られますように。すべての天使をとこしえにほめたたえます。 15神はわたしを鞭打たれたが、今は息子トビアをまた見ることができるようになったのですから。」トビアも喜び、言葉の限り神を賛美しながら家に入り、父に報告した。「わたしの旅は成功でした。お金も持って帰れましたし、ラグエルの娘サラを妻としてめとることもできました。間もなく、妻も到着します。ニネベの町の門のすぐ近くまで、来ているのです。」
16そこでトビトは喜びにあふれ、神をたたえながら、嫁を迎えるためにニネベの町の門まで出て行った。ニネベの人々は、トビトがだれにも手を引かれず、しっかりした足取りで歩いて行くのを見て驚いた。 17トビトは彼らの前で神を力強くたたえて言った。「神はわたしを憐れみ、再び目が見えるようにしてくださった。」トビトは、息子トビアの妻サラに近づき、祝福して言った。「娘よ、ようこそ。わたしは神をほめたたえます。神があなたをわたしたちのもとに連れて来てくださったのだ。あなたのお父上に祝福があるように。そして息子トビアとあなたの上にも祝福があるように。ここはあなたの家なのだ。お入りなさい。皆があなたを祝福し、喜んでいるのです。さあお入りなさい。」
その日、ニネベにいるユダヤ人はこぞって喜びの声をあげた。
🌸 答唱詩編 詩編146 典169 ①③
アレルヤ唱 典270 31B
🌸 福音朗読 (マルコ12.35-37)
マルコによる福音
35イエスは神殿の境内で教えていたとき、こう言われた。「どうして律法学者たちは、『メシアはダビデの子だ』と言うのか。 36ダビデ自身が聖霊を受けて言っている。
『主は、わたしの主にお告げになった。
「わたしの右の座に着きなさい。わたしがあなたの敵を
あなたの足もとに屈服させるときまで」と。』
37このようにダビデ自身がメシアを主と呼んでいるのに、どうしてメシアがダビデの子なのか。」大勢の群衆は、イエスの教えに喜んで耳を傾けた。
奉納祈願
拝領祈願
🌸 分かち合い
少しわかりにくい箇所。これは、今までのユダヤ人指導者たちとの問答とは違い、イエスから人々にぶつけられた問い。それだけに、聞いていた人も驚いたに違いない。
イエスの時代に、人々はやがて来るメシアは、ダビデの子孫から出ると考えていた。だから、イエスは、「どうして律法学者たちは、『メシアはダビデの子だ』というのか」と問われる。イエスの誕生について記す福音書(マタイとルカ)の記者が、イエスがダビデの町、ベトレヘムで生まれたことにこだわっていたこと、また、ヨハネが7章で記す、メシアについてのやりとりの中でも、メシアがどこから来るか知っている、という話があったことからもわかる。
イエスは、イスラエルの人々が唱えた、ダビデ王の作とされる詩編110編を持ち出される。これは、イスラエルに新しい王が誕生し、即位するときの歌と言われる。冒頭に、「主はわたしの主にお告げになった」とある。二人の主、はじめの「主」は神ご自身、後の「わたしの主」の「主」は、来たるべき王、メシアのこと。神ご自身が、メシアに全権をお委ねになり、彼に勝利を約束されるという内容。イエスは、詩の作者、ダビデが、メシアを「わたしの主」と呼ぶことに注目。その「主」であるメシアが、どうして、「ダビデの子」、子孫なのか、と問われる。
イエスは、人々が当然と思っていた考えを覆し、ご自分が何者であるか、どこから来られたのかを証言しようとされたのではないか。(S.T.)