Generic filters
Exact matches only
Filter by content type
Comments
Attachments

教皇の意向:子を失った親 (11月)

聖アルフォンソ・マリア・リゴリ(8/1)

FacebookTwitterEmailLinePrintFriendly

司祭・教会博士 (記念)(一六九六〜一七八七)

 我が国でいえば元禄の終わり頃、アルフォンソ・マリアは、ナポリの騎士の家庭に生まれました。勤勉だったので若くして法律の博士となり、ナポリでも有名な弁護士となりました。社交界での生活をしながら、同時に聖フィリッポ・ネリの修道会「オラトリオ」の神父たちに指導されて、毎年厳しい沈黙の中で黙想したり、毎日ご聖体訪問をしたり、病人を見舞ったりしました。その熱心な行ないが、回教徒の一人をキリスト信者へと導きました。「この方の信仰は真理です。なぜなら、この方の行ないが、そのいちばんいい証拠です」と、その改宗者は語っています。

 アルフォンソは、二度ほど条件のよい縁談を断わります。彼の心の中に、自分でもよくわからない戦いがありました。より高い生活への望みがありましたが、それが何であるかはっきりわかっていませんでした。けれども、不治の病人のいる病院を見舞いながら、「アルフォンソ、すべてを捨てて、私のためにだけ生きていきなさい」というようなキリストの呼びかけが、心の中ではっきりとわかりました。聖母の祭壇のそばに騎士の剣を置き、父の反対を振り切って、司祭になる準備を始めました。

 三年後に司祭になった彼は、二年間、ナポリの大都会で活動しました。最も楽しかったことは、夕方町の中で下層階級の人びとを集めて、和解への呼びかけとキリストの教えを話すことでした。彼はその時代の弊害であるうわべだけのきれいなことばを使う説教に反対して、「私の説教は、いちばん無学なおばあさんにわかることが目的です」と言いました。けれどもアルフォンソに与えられた特別な使命は、そのあとであらわれました。ナポリの山に住んでいる人びとは、キリス卜信者でありながら信仰をほとんど知らず、したがって、生活も信者にふさわしいものとは程遠いのを見て、アルフォンソは驚き、その見捨てられた人びとにキリストのメッセージを伝えようと決心しました。

祈る花:Inoruhana
祈る花:Inoruhana

 彼は三〇年間、その村と町を歩き回りました。各村で、みんなが働きはじめる前の早朝から、仕事を終えて帰ってからの夜更けまで、説教、話、ごミサ、祈り、ゆるしの秘跡、聖歌、教理の勉強、行列をもって、その人びとが真の信者になるように努めました。それは、有名な「ミッション」ということでした。一つの町や村に十五日間、あるいは一か月間滞在し、それが終わると他の町や村に行きますが、一年とたたないうちに、前の結果をより強めるために、再び戻ってくるという方法をとりました。

 また、その「ミッション」に協力する司祭たちとともに、レデンプトール会(聖贖罪主会)を創りました。アルフォンソは一分も無駄にしないという誓願を守り、その忙しい生活の中で、どんどん一般の人のための信心の本を著しました。『ご聖体の訪問』『イエズス・キリストに対する愛の実行J『聖母マリアの栄光』などは有名で、日本語や多くの国語に翻訳されています。

 アルフォンソは道徳神学に画期的な影響を与えました。二つの極端、厳しすぎることと甘えすぎることを避けるよう諭し、ゆるしの秘跡を授ける司祭たちには、罪人を神の子どもとして取り扱うよう指導しました。

 そうして、十三年間、ずいぶん乱れていた小さな教区の司教を務めました。病気で辞める許しをいただいた時までには、その教区は模範的で熱心な教区となっていました。最後の年は、精神的にも肉体的にも非常に苦しみました。レデンプトール会は、いつでもナポリ政府の反対を受けてきました。アルフォンソの晚年に、政府は圧力と中傷で会の分裂をもたらしました。死の時に「何か心配ごとがあるか」と聞かれると、彼は、「いいえ、一つもありません。イエズス・キリス卜を私のところに持ってきてください」と言ってご聖体をいただき、平安のうちに召されました。

 分裂したレデンプトール会は、聖アルフォンソが預言したように、再結集して全世界に広がり ました。今は、六四〇四人で、同じように、アルフォンソが創設したレデンプトール女子宣教会(聖贖罪主女子修道会)のシスターたちは、全世界で五八四人を数えます。

 聖アルフォンソのように、人びとの永遠の幸福のために尽くすことができるよう祈りましよう。

C.バリョヌェボ著『ミサの前に読む聖人伝』サンパウロ、2010年。

FacebookTwitterEmailLinePrintFriendly

御言葉の典礼を読み続く🌸

聖書の本文は日本聖書協会発行の「新共同訳聖書」を使用しております。
どうぞよろしくお願い致します。

コメントする