Generic filters
Exact matches only
Filter by content type
Comments
Attachments

教皇の意向:希望の巡礼者 (12月)

聖フィリポ・ネリ司祭(5月26日)

FacebookTwitterEmailLinePrintFriendly

五月二十六日:聖フィリッポ・ネリ司祭 (記念) (一五一五~一五九五)

 フィリッポ・ネリは、十六世紀の初め頃、日本の戦国時代に、イタリアの有名な町フィレンツェで、公証人の家の四人兄弟の一人として生まれました。幼い時に母親と死別しましたが、小さい時から人気のある陽気で心優しい子どもでした。十八歳の時、養子となるため富裕な商人の親戚にやられましたが、行ってまもなく、彼自身によれば「真の回心」をし、無一物となってローマに行きました。そこで、祈りと浮浪者のような貧しい生活を送り、苦業の中で、自分の未来のための神の導きを二年間求め続けました。その後さらに三年間猛勉強し、「いずれは学者になるであろう」という大方の期待を担うほどになりました。が、そんな折、聖フランシスコ・ザビエルの東洋での活動の話を聞き、同じように東洋で活動をしたいと思いました。しかしその思いの中で、自分にとっての東洋とはローマであることを悟りました。

 彼は勉強を中断し、ローマ市民の布教に力を尽くすことになったのです。そのころのローマの信仰はたいへん憂うべき状態でした。数年前に恐ろしい略奪にあい、教会は手痛い打撃を受けたのです。キリスト教に代わり、昔のローマとギリシャの考え方や生き方に愛と関心が高まり、不道徳な風潮がはびこり、聖職者の中にもミサをめったにささげないという無関心と不熱心が普通になっていました。

 彼の活動は小さなところから始まりました。彼は街で出会う人びとに冗談をとばし、人びとは彼の喜びと優しさに触れて、自分の霊魂について反省し、また神を愛するようになっていきました。青年や子どもたちといっしょに踊ったり、団体でスポーツ大会を開いたり、芝居を指導したりして、人びとをより熱心な信者になるよう導きました。「遊べ、叫べ、楽しめ。たった一つの願い、それは決して大罪を犯さないこと」。これが彼の口癖でした。また同時に病人の世話をしたり、巡礼者の世話をしたりしました。一五七五年、二五年ごとに行なわれる聖年の際には、十四万五千人の巡礼者の世話をしたともいわれています。

 このように多くの人びとから慕われていたフィリッポは、いつも告解する司祭の勧めによって、彼自身はあまり望んではいませんでしたが、三四歳の時司祭になりました。その時から告解場が彼の活動の場となりました。午前中はもちろん、多い時には夕方まで、毎日告解を受けたのです。人気もあり、聖人とのうわさも広まって、枢機卿たちやローマの権力者たちも競って彼の部屋に相談に訪れました。フィリッポを指導者とし、彼の徳を慕っていた司祭たちが自然に集まって、修道会のようなものになり、今でもそのようなグループが全世界に広まっています。

 彼はまた多くの逸話の持ち主でもありました。その中の一つに、ミサの時必ず「神の子羊」のところで二時間は脱魂したという話があります。いつも彼のミサに奉仕する子どもたちは心得たもので、「神の子羊」が始まるとローソクを吹き消し、聖堂を抜け出して遊んだり、他の用たしをしたりして、二時間ほどして帰ってきてローソクをつけると、その頃にはフィリッポも気がついてミサを続けたといわれています。

祈る花:Inoruhana
祈る花:Inoruhana

 フィリッポの最高の望みは、自分の出会った人びとが決して悲しみのうちに帰らないということでした。いつまでも回心することができないで失望のまま帰ることがないように、彼は一生懸命努めました。布教活動のためには厳しさよりも優しさの方がずっと力があると、いつも繰り返し言っていました。人を引きつけ、喜ばせることが好きで、冗談ばかり言っていました。しかもその中には深い神秘が含まれ、祈りの中にもユーモアが溢れていました。彼の愛称は「ピッポ」でした。彼はいつも祈りながら「主よ、よく注意してください。油断なさいますと、しもべピッポはあなたを裏切ります」と話すのでした。

 彼は神の道化師でした。楽しい遊びと信心を一つにした彼のやり方は、広く人びとに影響を及ぼし、特に聖ヨハネ・ボスコ(一月三十一日参照)は、それを自分のものとして取り入れました。

 彼フィリッポは、ほんとうに陽気な聖人であり、喜びと信仰は友であると、すべての信者に教えてくれました。彼とともに祈りましょう。

C.バリョヌェボ著『ミサの前に読む聖人伝』サンパウロ、2010年。

FacebookTwitterEmailLinePrintFriendly

御言葉の典礼を読み続く🌸

聖書の本文は日本聖書協会発行の「新共同訳聖書」を使用しております。
どうぞよろしくお願い致します。

コメントする