四旬節第一土曜日（2/24）

敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい

マタイ５：４４

🌸　第一朗読　（申命記26.16－19）

　¹⁶〔モーセは民に言った。〕今日、あなたの神、主はあなたに、これらの掟と法を行うように命じられる。あなたは心を尽くし、魂を尽くして、それを忠実に守りなさい。 ¹⁷今日、あなたは誓約した。「主を自分の神とし、その道に従って歩み、掟と戒めと法を守り、御声に聞き従います」と。 ¹⁸主もまた、今日、あなたに誓約された。「既に約束したとおり、あなたは宝の民となり、すべての戒めを守るであろう。 ¹⁹造ったあらゆる国民にはるかにまさるものとし、あなたに賛美と名声と誉れを与え、既に約束したとおり、あなたをあなたの神、主の聖なる民にする」と。

🌸　答唱詩編　詩編119　典75　①②

🌸　福音朗読　（マタイ5.43－48）

マタイによる福音

　⁴³〔そのとき、イエスは弟子たちに言われた。〕「あなたがたも聞いているとおり、『隣人を愛し、敵を憎め』と命じられている。 ⁴⁴しかし、わたしは言っておく。敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。 ⁴⁵あなたがたの天の父の子となるためである。父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださるからである。 ⁴⁶自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたがたにどんな報いがあろうか。徴税人でも、同じことをしているではないか。 ⁴⁷自分の兄弟にだけ挨拶したところで、どんな優れたことをしたことになろうか。異邦人でさえ、同じことをしているではないか。 ⁴⁸だから、あなたがたの天の父が完全であられるように、あなたがたも完全な者となりなさい。」

🌸　分かち合い

　愛についてのイエスの教え。イエスは言葉で、神の愛について教えられたが、それ以上に、ご自分の生き方、生涯によってそれを明らかにされた。
　人間には、だれにも、いのちが与えられているように、愛する力が与えられている。しかし、人は、様々な事情、妨げによって、その愛を成長させないまま、齢を重ねて行く。人間は、愛するように作られているが、いつまでも、あるいは、いつからか、愛することが出来ない人間になる可能性がある。日々、報道される悲しい事件は、そうしたことと無関係ではない。
　「神は愛である」。これはヨハネの手紙の著者が大胆に記した神の定義である。愛は、神からのものである。神の愛を受け入れない限り、人は、ふさわしい形で愛することが出来ない。その神の愛は、人間の常識を超えたもの、打算や人間的知恵を超えるもの、正義さえも越えるもの。時には、人間の目には愚かに見えることをあえて行うのが神の愛である。イエスは、自らの生涯をもって、その神の愛を、人々に伝えようとされた。そして、そのために自らを十字架上に捧げられた。
　イスラエルは、神から特別に愛された人々である。自分たちの力、業績によるのではなく、もっぱら、神の愛によって、造られた「神の民」、「宝の民」である。しかし、彼らの多くは、神の愛の表れである、神の子イエス・キリストを受け入れることが出来なかった。これは、現在、また、未来にまで及ぶ大きな謎である。はたして、イスラエルの選びは無駄だったのか。(S.T.)