5/14使徒聖マチア(祝日)(一世紀)
使徒行録は、使徒たちの伝記のようなものではなく、十二章まではほとんどペトロのこと、十三章からはパウロのことだけが書かれています。マチアについてはただ、使徒として選ばれたことだけが書かれているにすぎません(使徒1:15-26)。それではなぜこうして祝われているのでしょうか。
キリスト昇天の後、使徒たちと一二〇人ほどの信者たちは、キリストの命令に従って折り、霊降臨を待ってました。その時ペトロは、十二という数を保つために、裏切り者のユダの代わりに新しい使徒を選ばなければなりませんでした。なぜなら、イスラエルの種族とその太祖は十二であり、新しいイスラエルである教会の太祖である使徒たちも十二人でなければなりません。また、使徒はキリストの証人にならなければならないので、使徒になり得る人は、ヨハネの洗礼の時からキリストが天に昇られた時までキリストの仲間に属した人でなければなりません。その条件を満たすものは、バルサバと呼ばれ、またの名をユストというヨセフと、マチアの二人だけでした。二人ともほんとうに熱心な信者でしたので、使徒たちはその選択を神に委ねました。使徒たちが祈って「くじ」を引くと、マチアに当たったので、彼を十二人のひとりに加えました。それ以外マチアについて聖書には何一つ書いてありません。ただ聖書外典には、福音書とほぼ一致する一つの文章があります。それは「選ばれた人(キリスト教信者)の隣人が罪を犯すならば、選ばれた者も犯した。なぜなら、選ばれた人が神のみことばが示すように行なっていたなら、隣人は自分の過ちを恥じて罪を犯さなかっただろう」という、他人に対するキリスト教信者の責任を示す教えです。
伝説によれば、マチアは黒海に面するトルコのある地方や、カスピ海のある地方に布教して、現在のソビエトのコルキスという町で殉教したといわれています。
マチアが使徒の仲間に入ることができたように、私たちも聖人の集いに入ることができるよう祈りましょう。
C.バリョヌェボ著『ミサの前に読む聖人伝』サンパウロ、2010年。