聖ピオ十世教皇(記)
集会祈願
🌸 第一朗読 (士師記2.11-19)
11〔そのころ、〕イスラエルの人々は主の目に悪とされることを行い、バアルに仕えるものとなった。 12彼らは自分たちをエジプトの地から導き出した先祖の神、主を捨て、他の神々、周囲の国の神々に従い、これにひれ伏して、主を怒らせた。 13彼らは主を捨て、バアルとアシュトレトに仕えたので、 14主はイスラエルに対して怒りに燃え、彼らを略奪者の手に任せて、略奪されるがままにし、周りの敵の手に売り渡された。彼らはもはや、敵に立ち向かうことができなかった。 15出陣するごとに、主が告げて彼らに誓われたとおり、主の御手が彼らに立ち向かい、災いをくだされた。彼らは苦境に立たされた。
16主は士師たちを立てて、彼らを略奪者の手から救い出された。 17しかし、彼らは士師たちにも耳を傾けず、他の神々を恋い慕って姦淫し、これにひれ伏した。彼らは、先祖が主の戒めに聞き従って歩んでいた道を早々に離れ、同じように歩もうとはしなかった。 18主は彼らのために士師たちを立て、士師と共にいて、その士師の存命中敵の手から救ってくださったが、それは圧迫し迫害する者を前にしてうめく彼らを、主が哀れに思われたからである。 19その士師が死ぬと、彼らはまた先祖よりいっそう堕落して、他の神々に従い、これに仕え、ひれ伏し、その悪い行いとかたくなな歩みを何一つ断たなかった。
🌸 答唱詩編 詩編78 典59 2a 2b
アレルヤ唱 典272 34
🌸 福音朗読 (マタイ19.16-22)
マタイによる福音
16〔その時、〕一人の男がイエスに近寄って来て言った。「先生、永遠の命を得るには、どんな善いことをすればよいのでしょうか。」 17イエスは言われた。「なぜ、善いことについて、わたしに尋ねるのか。善い方はおひとりである。もし命を得たいのなら、掟を守りなさい。」 18男が「どの掟ですか」と尋ねると、イエスは言われた。「『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証するな、 19父母を敬え、また、隣人を自分のように愛しなさい。』」 20そこで、この青年は言った。「そういうことはみな守ってきました。まだ何か欠けているでしょうか。」 21イエスは言われた。「もし完全になりたいのなら、行って持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。それから、わたしに従いなさい。」 22青年はこの言葉を聞き、悲しみながら立ち去った。たくさんの財産を持っていたからである。
奉納祈願
拝領祈願
🌸 分かち合い
永遠の命を得るために何をすればよいか。旧約の人々はよく知っていた。掟―律法―を守ること。守るか、守らないか。実に明らか、イエスはそれを否定しない。むしろ、そのすばらしさを認める。
同時に、イエスは、そこに潜む落とし穴を見逃さない。掟を守ることは、自己義認につながる。自分が何をしたか、人の前に誇りにすることができる。いわば、箔がつく、自分のものになる。さらに、掟を守れない人、守ろうとしない人―罪びとーを裁くことになる。
イエスは、別の道を提示する。「行って持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。・・・それからわたしに従いなさい」と。「持ち物」とは、文字通りの財産を意味するが、それだけではない。自分の能力、業績、自分の過去等、これは自分のもの、と言えるものすべて。自分がそれによって、人前に自分は何者かであると誇りに思えるもの。それをすべて捨てよ、と言われる。厳しい注文。富める者も、貧しい者も、ユダヤ人であれ、ギリシャ人であれ、男であれ、女であれ、人間である限り、だれであっても、自らに問わなければならない、それができるか、と。そして、イエスは言う、「それから、わたしに従いなさい」と。まったく新しい生き方。
そんな要求にだれが応えられるか、と思うかもしれない。しかし、実際、その要求、否、招きに応えてきた人が無数にいたおかげで、教会が生まれ、今日まで発展した。もし、それに応えようとする人がいなくなれば、たちまち、教会はなくなる。少なくとも、教会から命が消える。(S.T.)