集会祈願
🌸 第一朗読 (ダニエル6.12-28)
12〔その日、〕役人たちはやって来て、ダニエルがその神に祈り求めているのを見届け、 13王の前に進み出、禁令を引き合いに出してこう言った。「王様、向こう三十日間、王様を差し置いて他の人間や神に願い事をする者があれば、獅子の洞窟に投げ込まれるという勅令に署名をなさったのではございませんか。」王は答えた。「そのとおりだ。メディアとペルシアの法律は廃棄されることはない。」 14彼らは王に言った。「王様、ユダヤからの捕囚の一人ダニエルは、あなたさまをも、署名なさったその禁令をも無視して、日に三度祈りをささげています。」 15王はこれを聞いてたいそう悩み、なんとかダニエルを助ける方法はないものかと心を砕き、救おうとして日の暮れるまで努力した。 16役人たちは王のもとに来て言った。「王様、ご存じのとおり、メディアとペルシアの法律によれば、王による勅令や禁令は一切変更してはならないことになっております。」 17それで王は命令を下し、ダニエルは獅子の洞窟に投げ込まれることになって引き出された。王は彼に言った。「お前がいつも拝んでいる神がお前を救ってくださるように。」 18一つの石が洞窟の入り口に置かれ、王は自分の印と貴族たちの印で封をし、ダニエルに対する処置に変更がないようにした。
19王は宮殿に帰ったが、その夜は食を断ち、側女も近寄らせず、眠れずに過ごし、 20夜が明けるやいなや、急いで獅子の洞窟へ行った。 21洞窟に近づくと、王は不安に満ちた声をあげて、ダニエルに呼びかけた。「ダニエル、ダニエル、生ける神の僕よ、お前がいつも拝んでいる神は、獅子からお前を救い出す力があったか。」 22ダニエルは王に答えた。「王様がとこしえまでも生き永らえられますように。 23神様が天使を送って獅子の口を閉ざしてくださいましたので、わたしはなんの危害も受けませんでした。神様に対するわたしの無実が認められたのです。そして王様、あなたさまに対しても、背いたことはございません。」 24王はたいそう喜んで、ダニエルを洞窟から引き出すように命じた。ダニエルは引き出されたが、その身に何の害も受けていなかった。神を信頼していたからである。 25王は命令を下して、ダニエルを陥れようとした者たちを引き出させ、妻子もろとも獅子の洞窟に投げ込ませた。穴の底にも達しないうちに、獅子は彼らに飛びかかり、骨までもかみ砕いた。
26ダレイオス王は、全地に住む諸国、諸族、諸言語の人々に、次のように書き送った。「いっそうの繁栄を願って挨拶を送る。 27わたしは以下のとおりに定める。この王国全域において、すべての民はダニエルの神を恐れかしこまなければならない。
この神は生ける神、世々にいまし
その主権は滅びることなく、その支配は永遠。
28この神は救い主、助け主。
天にも地にも、不思議な御業を行い
ダニエルを獅子の力から救われた。」
🌸 答唱詩編 詩編148 典20 ④⑤
アレルヤ唱 典274 ⑥
🌸 福音朗読 (ルカ21.20-28)
ルカによる福音
20〔そのとき、イエスは弟子たちに言われた。〕「エルサレムが軍隊に囲まれるのを見たら、その滅亡が近づいたことを悟りなさい。 21そのとき、ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。都の中にいる人々は、そこから立ち退きなさい。田舎にいる人々は都に入ってはならない。 22書かれていることがことごとく実現する報復の日だからである。 23それらの日には、身重の女と乳飲み子を持つ女は不幸だ。この地には大きな苦しみがあり、この民には神の怒りが下るからである。 24人々は剣の刃に倒れ、捕虜となってあらゆる国に連れて行かれる。異邦人の時代が完了するまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされる。」
25「それから、太陽と月と星に徴が現れる。地上では海がどよめき荒れ狂うので、諸国の民は、なすすべを知らず、不安に陥る。 26人々は、この世界に何が起こるのかとおびえ、恐ろしさのあまり気を失うだろう。天体が揺り動かされるからである。 27そのとき、人の子が大いなる力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを、人々は見る。 28このようなことが起こり始めたら、身を起こして頭を上げなさい。あなたがたの解放の時が近いからだ。」
奉納祈願
拝領祈願
🌸 分かち合い
イエスが受難に向かわれる緊迫した状況の中での最後の説教。一つはエルサレムの滅亡について、もう一つは、人の子の来臨について。
エルサレムは、イスラエルの民の都、そして、主を真の神と信じる人々の信仰の中心。かつて、神が自らの「名を置く」と定め、そこに向かって祈る人の願いを聞き入れると約束された神殿の立つ聖地、エルサレムを訪れることが、異郷に生きる人々の何にもまさる願い。その都が、そして、神殿が滅びるとは、想像することさえ、恐ろしいこと。しかし、イエスはそれを予見して言われる、「エルサレムの滅亡が近づいたことを悟りなさい」。そして、「異邦人の時代が完了するまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされる」、と。
イエスは、エルサレムの滅亡と自らの十字架上の死を重ねて考えておられたのだろうか。弟子たちの愛する師が、あのような無残な姿で、人々の目の前で、最後を迎えられるとは、弟子たちにとって、まったく考えられないこと。
しかし、そのいずれも、決して最後のことではない。エルサレムが解放される時が来る。それに先立って、あの十字架で亡くなったイエスが復活して、そして、いつの日か、人類が繰り返し経験する、多くの悲惨と苦しみの後、人々が予想もしない時、真の救いをもたらすために、再びお出でになる。それがイエスの人々への慰めの言葉。「身を起こして、頭を上げなさい。あなたがたの解放の時が近いからだ」。(S.T.)